歯周病ってよく聞くけど・・・どんな病気???どんな症状なの?
歯周病の外見上の一般的な症状・所見
- 歯ぐきが発赤して腫れている
- 多量の歯垢と歯石の付着が見える
- 歯ぐきから出血しやすい(自然出血、歯磨き時)
- 歯が動く、揺れる、隙間が出来る、食べ物を噛むと痛む
- 最悪は抜け落ちる
- その他、口臭、口の中がべたべたする等
軽度であれば、正しく歯磨きが出来て、歯に付着した汚れ(歯垢、歯石など)を除去しもらう等、最適な治療を受けることで良くなることが多いのですが、進行が重度になるとに治り難くなります。 かかりつけ歯科医に相談して、歯周治療と定期健診を受けるなど、早い時期から歯周病対策をしておく事が大変大事です。「歯周病は沈黙する病気」で、気が付かないで進行するむし歯より本当はずっと怖い病気です。
歯周病の病態
「歯周病」とは歯の周りを支えている組織(歯周組織=歯肉・歯槽骨・歯根膜など)の病気で、次のような2つの病態があり、すべてが歯垢や歯石の中に棲息している歯周病菌という細菌が原因で起こる病気です。
病態1は歯肉の炎症(歯肉の発赤腫脹、歯磨き時の出血など)のみに止まる「歯肉炎」です。歯槽骨は影響を受けておらず、自覚症状は特にありません。しかし歯肉炎を放置すると症状が進行して悪化し、病態2の「歯周炎」になります。ここまで進行すると歯を支えている歯槽骨が破壊され、溶かされ始め、さらに進めば最後には歯を失うことになります。歯肉炎と歯周炎の総称を歯周病と言います。
健康的な口腔とは・・・
むし歯や歯周病も無く、歯の汚れの付着もないきれいな歯と歯列、また歯肉や粘膜もなんら異常もない状態を言います。(24歳 女性)
歯周病の成り立ちを知ろう
歯と歯肉の境にある歯周ポケット内の歯垢(しこう・プラーク)や歯石(しせき)の中に潜んでいる歯周病原菌の感染が直接の原因です。その細菌の出す毒素により、歯の周りの歯肉が炎症を起こし、進行すると歯を支えている周りの顎の骨(歯槽骨)が溶かされて行く病気で、さらに重度に悪化すれば歯の喪失(歯が抜ける)につながる大変怖い病気です。
歯垢(しこう・プラーク)と歯石(しせき)の成り立ち
お口の中では食後約3分くらいで唾液中のタンパク質成分が歯の表面に付着し、薄い膜が形成されます。これが歯垢(プラーク)です。ここにむし歯菌や歯周病菌などの細菌が棲み付き生育し増殖して、やがて細菌の温床となりむし歯や歯周病が発病します。また歯垢は長時間蓄積すると唾液中のカルシウムで石灰化して歯に硬く強固に付着します。これが歯石です。
健康な歯と歯肉は「歯周ポケット」が命です。
- 歯周病は先ず歯周ポケットの僅かな炎症から始まります。
- 歯周ポケットに付着した歯垢や歯石内の歯周病原菌により、歯肉の腫脹や歯肉の出血などの炎症が起こります。
- これが歯周病の初期症状で、時間の経過とともにやがて、歯周ポケットの深部まで炎症が進み、重症化していきます。
- そのため口腔の健康維持をするためには歯周ポケットの健康管理が大変重要です。
- かかりつけ歯科医院にて継続的な定期健診を必ず受けましょう。
歯の健康維持の究極はこれだ!!
20歳を過ぎたら歯科衛生士さんから
歯周ポケットの定期的な健康管理をしてもらおう。
健康な歯肉と歯槽骨
歯垢や歯石の付着もなく、歯肉には炎症も認めず病的な歯周ポッケトもなく、健康な状態を維持しています。また歯槽骨も正常な状態を示しています。
進行した歯周病の歯肉と歯槽骨の状態
歯周病で歯肉が痩せ、また歯を支える歯槽骨が無くなり歯が動いて隙間が出来てしまったところ。
1.歯肉炎
歯肉炎は歯肉だけの病気です。歯と歯肉の間に歯垢や歯石がたまって歯肉が炎症を起こし腫れ、出血しやすくなっています。歯を支える骨にはまだ歯周病の影響は出ていません。
2.進行が初期的な歯周病(歯周炎)
3.中等度以上に侵攻した歯周病(歯周炎)
4.重度に侵攻した歯周病(歯周炎)
歯周病が重度に進行して歯槽骨が無くなり保存できず抜歯された歯
歯周病の治療の実際の流れ
1.原因除去療法 → 2.家庭内療養 → 3.定期検診の受診
歯周病は歯面に付着した歯垢、歯石の中に棲息している歯周病菌が原因で起こるため、①その原因である歯垢や歯石の除去を行います。そのため先ず、毎食後は磨きの残しのない歯磨きが出来るように指導を行います。
次に、歯科衛生士により歯石の除去が丁寧に行われます。これらの原因除去療法が終了す ると、歯肉の炎症が消え、歯肉が改善され健康な歯肉に回復されます。しかし、結果が良くない場合は更に確定的な治療を進めて行き、歯周組織の改善を図ります。そして、歯肉の改善と安定が確認されたら②家庭内療養(日常の自己管理)に入り、③その後定期的健診(メインテナンス)を受けます。
1.原因除去療法
2.家庭内療養 → セルフケア(日常の自己管理)
3.定期健診 → プロフェッショナルケア(専門的な管理指導)
患者さんの歯周病の程度、リスク、生活習慣、全身疾患などを考慮して、1ケ月~6ヶ月の間で患者さんに合わせて、航空の健康の維持管理を行います。
「プロフェッショナルケア」
歯科衛生士による専門的な歯根面や歯冠面の沈着物の除去及び清掃とフッ素などの予防剤の塗布
定期健診は歯周病やむし歯などの再発防止のための予防処置を行い、
生涯にわたり歯と口腔の健康を守り育てて行く事が最大の目的です。
本当の自分を取り戻した症例1
1ヶ月4回の歯磨き指導だけで歯肉炎が改善した症例
本当の自分を取り戻した症例2
本当の自分を取り戻した症例3
下の写真は歯周病を理解し、自分のお口の現状を知り、治療と管理指導を受けることで、本当の自分のお口の健康を取り戻した症例です。
継続的な管理指導(メインテナンス)を怠り再発したケース1
継続的な管理指導(メインテナンス)を怠り再発したケース2
継続的な管理指導(メインテナンス)を怠り再発症した症例
重度の歯周病とタバコのため27本の歯を失い、残り1本だけになった症例
破壊された口腔内
定期的な健診と治療を受けずに、悪いまま長年放置されて劣悪な状態になってしまった口腔内
歯周病とは生活習慣病である
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、タバコ、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」を表すものとして厚生労働省が平成8年12月導入した、新しい疾病の概念です。
生活習慣病はそれまでは「成人病」と呼ばれていましたが、発病の原因が日常生活のさまざまな部分にひそんでいるため、このように呼ばれるようになりました。
代表的な生活習慣病としては、がん、脳血管障害、心臓病、糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧症などがあげられます。そのほかにも、呼吸器疾患、胃・十二指腸潰瘍、肝機能障害、骨粗鬆症、歯周病 なども生活習慣病にあげられています。
歯周病が及ぼす主な病気
1. 脳血管疾患・心血管疾患
歯周ポケットから特異な歯周病菌が血管内に侵入して、血栓を引き起こし動脈硬化を誘発 させる疑いがある。そのため歯周病に罹っている人は脳卒中(脳梗塞、脳出血)等の脳血管疾患に罹る危険性が高く、また心不全、狭心症、心筋梗塞で代表される心臓病も同様にその危険性が言われている。
2. 敗血症、感染性心内膜炎
歯の周囲に歯垢が蓄積し口腔内が不潔になると、口腔内細菌が血流に入り一時的な菌血症を起こし、全身状態が悪く抵抗力が低下している高齢者では、敗血症に移行することもあります。また心不全などの心血管疾患を有する高齢者では、血管内に入った口腔細菌が、繁殖し、感染性心内膜炎を発症する危険性がある。心疾患を持っていたり、免疫力の低下した高齢者では、口腔衛生管理に注意することが非常に大事です。
3. 糖尿病
糖尿病患者では歯周病が進行しやすく重症化します。また重度の歯周病は糖尿病を悪化さ せ糖尿病性腎症や狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患などを併発すると云われています。 歯周治療により炎症を低減し、歯肉の抵抗力を増進させ、しっかり噛める口腔の環境を整えることで、糖尿病の予防や改善に役立つことは確かです。
4. 誤嚥性肺炎
嚥下障害がある方が、口腔内細菌の繁殖した食べかすや唾液などを誤って気管に入ること(誤嚥)が原因で 起こる肺炎です。口腔内には多種多様の細菌がすんでいます。特に高齢者や病気などで飲み込む機能や咳をする力が弱くなると、口腔の細菌や逆流した胃液が誤って気管に入りやすくなります。その結果、発症するのが誤嚥性肺炎です。歯周病の治療を行い、口腔ケアを受け、お口の中を清潔にすることが肝要です。
5. 早産・低体重児出産
早産や低出生体重児出産の主な 原因は 喫煙や 飲酒そして歯周病などの感染症が挙げられます。特に歯周病に罹っていると、歯周病菌が炎症を起こした歯肉の血管から血液中に入り、それが羊水内に侵入して胎児の成長に悪影響を及ぼすと考えられています。重度の歯周病にかかっている母親から生まれた子供は健康な歯肉の母親に比べて、約7倍以上の確率で早産・低体重児出産が起こるというデータがあります。妊婦さんは禁煙、禁酒を行い、歯周病を治して口腔ケアを必ず定期的に受けましょう。
6. 骨粗鬆症
骨粗鬆症の方は歯周病に罹ると進行しやすく重症化しやすい。そのため脳梗塞や心筋梗塞などの血管の病気にもなり易いと言われています。特に閉経後の女性は急速な女性ホルモンの分泌の低下が骨粗鬆症の原因となりますので注意が必要です。
7. 肥満と歯周病
肥満は糖尿病の直接的原因であることが分かってきています。糖尿病の前段階の肥満が歯周病を悪化させている可能性があると言われていますので「歯周病対策」が重要です。
8. インフルエンザと歯周病
歯周病の有病者はインフレエンザに罹りやすいと言われています。それは歯周病菌がインフレエンザウイルスを体内に侵入する手助けをするためです。そのため予防は日常的に口腔ケアが良く出来ていること、あるいは歯周病の治療を受け歯周病菌を抑制して、清潔なお口にしておくことが最も大切です。
全身の健康を守るためには、先ずお口の健康管理から・・・・・・
そのためには、かかりつけ歯科医院で「歯周病対策」をしてもらうことが賢い選択肢です。
歯周病が及ぼす全身の病気
病気による死亡率のランク
誤嚥性肺炎
嚥下反射や咳反射の低下している脳血管障害(脳梗塞など)を伴う高齢者に特に多く見られる。そのような方の口腔内では歯垢や歯石、汚れて不潔な入れ歯だけでなく、歯周ポケット内、舌、頬や咽頭の粘膜などにも多量の歯周病菌が付着しています。それらが唾液と一緒に誤嚥されて気道から肺に入り、そのためにおこす肺炎を誤嚥性肺炎と言います。
歯や口の疾患の予防や口腔機能の維持のため、高齢者の口腔ケアが重要
我が国は、2015年には65歳以上のお年寄りが全人口の1/4を占めると予想され、今後、世界に類のない高齢社会になることが確実です。高齢社会が進むにつれて要介護高齢者の数は増加し、1993年に約200万人だったその数は2025年には約530万人に増加すると推計されています。 要介護状態では口の中の清掃がおざなりにされやすく、非常に不潔な方が多くなります。急増する要介護高齢者のQOL(生活の質)向上を目指した生活支援が必要となり、口腔領域では口腔ケアの普及が大変重要になっています。しかし、介護する人たちの口腔ケアへの認識は必ずしも十分ではありません。
歯周病とタバコ
タバコの害と歯肉・粘膜の変化
歯科医院にて徹底な歯周治療と禁煙指導を受け、また何よりも本人自身の努力の結果、見事に健康な歯肉を取り戻した症例
あるヘビースモーカーの歯を失う様子
タバコはくすり?それとも有害薬物
薬には副作用の問題が有りますが、自分が飲んでいる薬の効果や副作用について、知っておりますか。
もし、今飲んでいる薬について、次のような説明を受けたらどうされますか?
副作用として
1.肺がんにかかる率が7倍になります。
2.喉頭(のど)がんは33倍。
3.心筋こうそくには3倍かかりやすく…
4.歯周病は5倍かかりやすく…そして寿命が約10年短くなり、歯の寿命も約10年短くなります。
あなたは、こんな薬を飲みますか?
実は、この薬とはタバコのことです。
タバコはクスリではなく、健康には大きなリスクです。
タバコは非常に有害な薬物であり、吸っている本人だけでなく、周囲の人たちの体にもたいへん大きな害を及ぼします。
夫がタバコを吸う場合、妻の肺がん死亡率は2倍になります。
タバコの煙は、胎児の異常や、子どものぜんそくなど呼吸器病の他、最近問題になっている乳幼児突然死症候群を引き起こします。
妊婦さんや子どもの前では絶対に吸わないようにしましょう。
タバコは「ゆるやかな自殺」行為です。
(1日20本以上吸う人の危険率データ)
石井正敏・著書「タバコをやめよう」より改変
タバコ(喫煙)と健康
タバコは身体に悪いことは知っている。
- タバコはあなたの寿命を縮めている。
- タバコはあなたの周りの人の寿命も縮めている。
- タバコは歯周病の最大の危険因子である。
- タバコは骨祖鬆症の進行を早くする。
- タバコは口腔ガンに関係ある。
- タバコは生まれてくる子供に影響する。
- タバコはお肌の老化を進め、シミ、ソバカスの元になる。
タバコは有害な薬物である。 そして次のような有害な副作用が有る。
知っていますか・・・歯を失う原因の第1位は「歯周病」